ワインは健康に効果がある!?デメリットは?

ワインコンサルタント&ソムリエの広瀬勇二です。

今回のテーマは、「ワインは健康に効果がある!?デメリットは?」です。

ワインに含まれる健康成分はやはりポリフェノール?

「ワインは健康に良い」とはよく耳にしますが、どのような点で健康に良いのか、またワインに含まれるどのような成分がどのような効果をもたらすかなどをご説明していきたいと思います。

以前、「赤ワインと白ワインの違い!カロリーや効能は?」という記事を書かせていただきましたが、ここは普段お忙しい方々にも簡潔にお伝えする、大人のための「大人ワイン.com」。

先に結論をお伝えいたしましょう。

赤ワイン⇒動脈硬化防止、心臓疾患、脳卒中、ストレス等による神経疾患、アルツハイマーにも有効。

白ワイン⇒利尿効果を高める、新陳代謝の向上、整腸作用、殺菌効果。

以上が赤白ワイン各々が健康にもたらす主な効能ですが、キーポイントとなる成分は皆様ご存知「ポリフェノール」。

「ワインにはポリフェノールが含まれているから健康に良い」ここまではほとんどの方はご存知であろう周知の事実。

ところが、このポリフェノールをより深く掘り下げることで、「ワインは健康に良い」という漠然とした認識から、更に深い知識へと変わっていきます。

まず最初に、皆様はこのポリフェノールがタンニン、アントシアニン、カテキン、イソブラボン、フラボノイドといった、同じくよく耳にする植物成分の総称であることはご存知でしたでしょうか。

カテキンといえばお茶に、フラボノイドといば大豆に含まれているというイメージがあるかもしれませんが、実はこれらの成分もワインには含まれております。

もちろん含有量には差がありますが、一言でポリフェノールといっても、そのポリフェノールの中でもどのような成分がワインには含まれているのかを知ることで、ワインが健康に良いことをより深く理解することができるのです。

ブドウの中でポリフェノールが一番多く含まれているのは種子で65%〜70%程、次に果皮で25%〜35%程と言われております。

その中でも、種子に含まれているポリフェノールはタンニン、カテキン、ケルセチンなど。果皮に含まれているポリフェノールはアントシアニン、フラボノイド、レスベラトールなどが挙げられます。

今は昔の記念すべき大人ワイン.com第一回目のテーマ「ワインの種類とぶどう品種による味の特徴は?」の回でもご説明させていただきましたが、製造過程の違いで白ワインは種子と果皮を取り除くので、白ワインはポリフェノール含有量は赤ワインの10分の1と言われており、上述したように白ワインにも利尿効果や整腸作用などはございますが、ポリフェノールにより発揮される抗酸化作用は弱いと言えます。

それでは次に、ワインに含まれる様々なポリフェノールが、実際にどのように効力を発揮するかをご説明させていただきます。

ポリフェノールの効果、種類は?

ポリフェノールと一言でいってもたくさんの種類があることは前述し、その効果も様々ですが、これらのポリフェノールの主な役割は、「体内で毒化した酵素である活性酸素と悪玉コレステロール(LDL)との結合を防ぐこと」です。

動脈硬化、心臓疾患、脳卒中などの疾患は、簡単に言えば血管壁の内側にたまる老廃物が原因で引き起こされます。前述した活性酸素と悪玉コレステロール(LDL)が結合すると”酸化LDL”となり、老廃物となって血管内に残り、血栓の大きな原因となるのです。この活性酸素とLDLの結合を防ぐポリフェノールの働きが、「ワインが健康に良い」と言われる所以なのです。

もう少しこのポリフェノールについて深く掘り下げていきましょう。

ワインに含まれているポリフェノールの中には、皆様もよく耳にはするであろうタンニン、アントシアニンなどが挙げられるが、昨今注目を浴びているのがレスベラトール。

このレスベラトールには、抗動脈硬化作用の他にも抗炎症作用、また寿命を延ばす働きがあるとされるサーチュイン遺伝子を活性化するという報告もあるようです。

毎日グラス1杯半のワインを飲み続けると記憶力の回復にも効果があるようで、アルツハイマー病などの神経細胞の変性が原因とされる病気にかかりにくくなるという効果にも期待をされております。

また、こちらもワインに含まれているポリフェノールの一種であるエラグ酸には脂肪燃焼を促進する働きと、ピセアタンノールには脂肪が増えることを抑制する働きと、脂肪を蓄積するのを抑制する働きがあり、若干のダイエット効果も期待できそうです。

このように色々な効用を有するワインと言えど飲み過ぎはよくありませんが、全くお酒を飲まない非飲酒者に比べて、少量飲酒者の方が様々な疾患病を引き起こしリスクはむしろ低く、40歳から64歳の死亡率を飲酒量により分類すると、適度な飲酒をする人の死亡率は全く飲まない人よりも低い。

しかしながら、ある一定量を超えて大量に飲酒をする人から徐々に死亡率が上がっていくという統計があり、そのグラフがちょうどアルファベットのJのようになることから、J型カーブと呼ばれている。

様々な書物や資料でワインが健康に効果があることは述べられているが、やはり飲み過ぎは体に悪く、毎日適量(1日1杯〜2杯程度)を飲み続けるということが、ワインが最も身体に良い効果をもたらす飲み方と言えるでしょう。

ポリフェノールが多く含まれているワイン、ぶどう品種は?

適量のワインの摂取が健康に効果があることはどうやら間違いないようですが、そうなりますと、今度はどのようなワインにどのようなポリフェノールが含まれてるのか、またその量なども気になるところ。

赤ワインに含まれるポリフェノールの中でもよく耳にするのがタンニン。

このタンニンは赤ワインの渋味の成分であり、故に重めのワインにはこのタンニンは多く含まれると言える。

代表的な品種としては、ボルドーワインの主要品種であるカベルネ・ソーヴィニヨン種、イタリアのバローロで有名なネッビオーロ種、タンニンの由来になったと言われている南西地方のタナ種などが挙げられる。

これらの品種にはより豊富なタンニンが含まれていると言われておりますが、ポリフェノール全体として見れば、実は必ずしも重たいワインだけが有効なポリフェノールを有しているというわけではない。

ポリフェノールの中でも前述したリスベラトール、今ワインに含まれるポリフェノールで最も注目を集めていると言っても過言ではないこの成分は、実はどっしりとした味わいのボルドーワインなどが有するカベルネ・ソーヴィニヨン種よりも。華やかな味わいが特徴のブルゴーニュワインが有するピノ・ノワール種の方が多く含まれている。

ピノ・ノワールは果皮が薄いという特徴があるので、カビが生えるとすぐ病気になりやすく、ぶどうが自分を守るために抗カビ成分を一生懸命に作る。この抗カビの役割を担う成分がレスベラトロールで、皮が厚くカビに強いカベルネ・ソーヴィニヨン種に比べると含有量は10倍ほど多いようです。またピノ・ノワール種程ではないがカベルネ・ソーヴィニヨン種より皮が薄いメルロー種も、カベルネ・ソーヴィニヨン種の2~3倍のレスベラトロールが含まれているとのこと。

ポリフェノール、タンニンと言えば、何となく重ための渋いワインに多く含まれていると思ってしまいますが、成分によっては必ずしも渋いワインに多く入っているというわけではなく、むしろエレガントな味わいのワインの方が含有量が多いという事実もあるようです。

今まで重たいボルドーワインよりもエレガントなブルゴーニュワインを好んでいた方々も、今後も安心して大好きなピノ・ノワールを飲むことができますね!

ワインがもたらすデメリットはある?

ワインが健康に良いことはわかりましたが、逆にデメリットは無いのか?

ワインもアルコール飲料ですから、前述した通り飲み過ぎてはいけないことが大前提です。

確かにワインにはポリフェノールが含まれておりますが、野菜や果物といった食物から摂取でぎるそれに比べればはるかに量は少なく、同じ量のポリフェノールを摂取するにはより多くのワインを飲まなければなりませんので、それはもう健康的な摂取量を超えております。

また、前述したレスベラトールは、老化や肥満による障害予防には有効だが、健康な人に投与することでより健康が増進されるというものではないという報告もされており、飲めば飲むほど健康になっていくというわけではないということも理解しておいてください。

そして、諸説ありますがワインもアルコール中毒になるリスクは否めませんので、毎日適量もさることながら、時には休肝日を設けること、また就寝前のアルコール摂取は睡眠の質を落とすことにも繋がりますので、飲む頻度、タイミングなどにも気をつけましょう。

ワイン自体は決して有毒なものではないので大きなデメリットというものは見当たりませんが、やはり適量を適切に摂取することが、ワインを健康的に愉しむ飲み方ということですね!

赤ワインは新型コロナウイルスにも効果が!?

最後に、今世界中を席巻している新型コロナウイルスの増殖の抑制に赤ワインが効果があるという驚くべき発表の報告をいたします。

コロナ禍でまだまだ予断を許さない状況が続いておりますが、このような渦中で長崎大学から、赤ワインや納豆に含まれる5-アミノレブリン酸に、新型コロナウイルス増殖を抑制する効果があるという発表がありました。

長崎大学と製薬会社は、共同研究により新型コロナウイルスの感染抑制に効果があるという物質「5-ALA」を発見。新型コロナウイルスを培養細胞に感染させ5-ALAを投与した場合としなかった場合を比べた実験の結果、投与しなかった方は一面が緑色に埋め尽くされているが、投与した方は感染した細胞がほとんど見られなかったという。

5-ALAは納豆、ブロッコリー、ワインなどに含まれているほか、サプリメントとしても市販されていて、人間の体内でも作られており安全性が確認されている物質だという。しかし、どれくらい取り込めば感染抑制効果があるかは分かっておらず、長崎大学病院では患者に「5-ALA」を投与する特定臨床研究が始まっていて、早期の実用化を目指しているとのことです。

「口にいれてすぐ効果を示したものではない。今後人体の中でどのような効果を発揮するかの研究が必要。」などと話している専門家もいるようですが、新型コロナウイルスを不活化したという研究はこれまでに複数上がっているようで、今後大いに期待が持てる発表です。

飲食店も自粛営業を余儀なくされている中、赤ワインにこのような効果が見つかったことはとても喜ばしいことです。

というわけで今回のテーマは、「ワインは健康に効果がある!?デメリットは?」でした。

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