ワインコンサルタント&ソムリエの広瀬勇二です。
今回のテーマは、「ワインにダイエット効果はあるのか?夜ワインは太る!?」です。
ワインの糖質
今回はワインのダイエット効果、そして俗に言う晩酌ワインについてもお話させていただけたらと思います。
まずワインにダイエット効果はあるのか?の疑問にお答えをすると、結論から言えば「少しはある」といったところです。
ポリフェノールの一種であるエラグ酸には脂肪燃焼を促進する働きと、ピセアタンノールには脂肪が増えることを抑制する働き、また脂肪の蓄積を抑制する働きがあり、若干のダイエット効果が期待できそうという程度で、劇的な効果があるというような事例は私が知る限りでは見当たりません。
ワインのみならず、そもそもアルコール自体がダイエットに対してポジティブな働きは少ないかもしれません。
しかしながら、ワインは他のアルコール飲料と比べると糖質が低く、また白ワインに含まれている糖質のほとんどが旨味成分であるグリセリンと有機酸で、これらは血糖値の上昇を抑制する働きがあり、ダイエットのお手伝いとして食後に太りにくくするといったような効力はある食中酒と言えます。
また、糖質だけを見ればワインよりもウイスキーや焼酎の方が少ないようですが、お食事とのマリアージュという役割も考えると、やはりワインが頭一つ抜けているのではと感じます。
ワインの糖質という点をもう少し深く掘り下げてみましょう。
ワインの糖質に関するデータは、既に様々なサイト等で数値化もされているようですが、少ない順に並べると以下の通りです。
赤ワイン
↓
白ワイン
↓
スパークリングワイン
↓
ロゼワイン
甘口ワインやデザートワインは糖分が多く、またスパークリングワインやシャンパンは残糖量にもよりますが、概ね上記の順番で、赤ワインが最も糖質は少なく、ロゼワインが最も多いようです。
糖質だけを見るとご覧の通りではありますが、色々なデータを見てみてもそれ程大きな差はなく、強いて言えばロゼワインがやや多いかという程度で、あまり飲み分けを意識するようなこともないかと思います。
重要なのはワイン全般が他のアルコールに比べて糖質は低いということ。
ただし飲み過ぎには注意です。身体に良いと言われているワインの量は、本来は毎日グラスで1〜2杯と言われております。
まあ、飲み始めたらとても2杯では終わらないですけどね(笑)
このサイトを見ている皆様はきっと食べたり飲んだりが、そしてワインが好きな方々。それであれば、食事中に飲むお酒はワインが良いということがわかっただけで、もう充分満足なのではないでしょうか。
くれぐれも飲み過ぎにはお気をつけて(^^)。
次は更に朗報で、無理な糖質制限などをせずともダイエット効果がある食事法をご紹介いたします!
食べながら健康に。「地中海式ダイエット」
昨今、様々なダイエット法が紹介されており、中には「無理せず」「食事も気にせず」などという文言も添えて、健康的なダイエットが推奨されているように思えます。
本来、規則正しい生活、食生活、睡眠、適度な運動などを心がけていれば、自ずと身体は健康に保たれ、肥満体質にもならないところだとは思いますが、現代社会においてはそれがわかっていてもなかなか実践が難しいところ。
今回ご紹介させていただく「地中海式ダイエット」は、そのような現代社会で生活する皆さんのご要望にお応えするべく、何かを課せたり糖質制限をしたりではなく、少し意識をしていただくだけで変わっていくであろう大人のダイエット食事法です。
この地中海式ダイエットは、痩せることを第一の目的としたダイエットではありません。
伝統的に地中海沿岸の人々がおこなってきた”食習慣”のことで、この食生活で暮らしている人々が比較的慢性疾患が少なく、人口に対する長寿率が高いことに着目したハーバード大学の調査グループが調査をし、今や世界保健機関(WHO)と国連食糧農業委員会(FAO)が推奨するに至っている食事法です。
地中海沿岸はいわゆる”オリーブオイル文化圏”に含まれ、料理に使う油は植物性のオリーブオイル、合わせて野菜や果物の摂取量が多いという特徴があります。
また、たんぱく質はお肉よりも極力魚にし、お肉を食べる場合は赤肉ではなく鶏肉などの白色肉にして(赤肉を食べてはいけないわけではない)、日常的にカラダに良い脂肪を摂取することが、健康に良いことはもちろん、欧米化している昨今の食生活と比べると充分にダイエット効果が見込めるというわけです。
地中海ダイエットについては、様々なサイト等でもより細かくご紹介もされておりますが、簡単にまとめると以下の通りです。
①植物性植物を多めに。果物、野菜(特に緑黄色野菜、きのこなど)、じゃがいも、パン、穀類、豆類、パスタ等。
②油分は極力オリーブオイルから(摂取カロリーの25〜35%以内に)。
③低脂肪、または無脂肪のチーズやヨーグルトを毎日少量ずつ摂取
④魚と鶏肉は毎週少量ずつ摂取。卵は1週間に4個まで。
⑤デザートには新鮮な果物を。砂糖や動物性脂肪を含んだ菓子類は週に数回。
⑥赤身の肉は月に数回程度。1回に食べる量は多くても450gまで。
⑦朝食と夕食は軽めで、昼食にゆっくり時間をかけてたくさんの量を食べる。
⑧定期に適度な運動(食後も片付けや散歩など軽く運動をした方が良い)、適度のワインを食事とともに。
いかがでしょうか?
案外目からウロコな項目もあったのではないでしょうか(^^)。
糖分が多いであろう果物、またじゃがいも、パスタ、パンなどの炭水化物も決してネガティヴな食物ではなく、むしろある程度は主食として積極的に摂取しても良いのです。
上記の内容をピラミッド化した「地中海式ダイエットピラミッド」が以下の通りです。
更に付け加えるとすれば、できれば調理は加熱し過ぎない方が良いことや、抗酸化物質を含む食品やハーブを食事に取り入れることなども推奨されております。
糖質制限というような束縛も無いですし、もし糖質制限をするにしても1日1回程度に抑え、糖質制限をし過ぎないことを注意喚起しております。
意識をするべき点はありますが、何かの食材を徹底的に抑えたり避けたりはせず、逆に満遍なく何でも食べようと言っているようにすら聞こえます。
何より食中にワインを飲むことも推奨されておりますから、こんな嬉しいダイエット法はないですね。
やはり大切なことは規則正しい生活、食生活、適当な運動に尽きるわけですが、この「地中海式ダイエット」は、それを極力遵守した方法だと思いますので、何かを課せて無理をするダイエットを実践しようとされている方は、まずは是非こちらを試してみてはいかがでしょうか。
キーポイントは糖質の性質とGI値?
地中海式ダイエットが、極めて身体にも良く比較的無理も少ない食事法だということはご理解いただけたと思いますが、ここでもう少し、やっぱり気になる糖質とGI値について述べていきたいと思います。
まずGIとはglycemic index(グリセミック・インデックス)の略で、食後の血糖値の上昇を示す値です。
GI値はブドウ糖を摂取したときの血糖値上昇率を100として、相対的に示したものです。これが低いほど血糖値は緩やかに上昇するために、インシュリンの分泌も少なくて済むのです。
このGI値が低い食品の方が食後の血糖値の上昇を抑えるので、糖尿病や肥満の予防にも役立つと言えます。
地中海式ダイエットで推奨されているパスタは、このGI値が他の炭水化物に比べて低く、炭水化物の中でも太りにくい食品なのです。
パスタの成分の70%は糖質ですが、水溶性繊維の多い糖質で糖の吸収が穏やかで、地中海式ダイエットで推奨されているのは理論的にも正しいと言えるのです。
そして気になるワインのGI値ですが、こちらのGI値は32(パスタは42〜50)で、ビールや日本酒など他の醸造酒に比べて最も低い数値です。
ただし、ウイスキーやブランデーといった蒸留酒はGI値は更に低いですし、パスタも炭水化物の中では低いですが、他の食品と比べたら決して低いというわけではないので、やはり摂取のし過ぎには注意しましょう。
そして、相対的に見ればGI値が低いとは言えないワインやパスタですが、逆にGI値を下げる食品というものもあり、その内の一つがオリーブオイルで、他にはきのこ類、葉物野菜全般、タマネギ、牡蠣などがあり、どれもワインとの相性が良い食品ばかりです。
従って、先に述べた地中海式ダイエットは、炭水化物やアルコールを摂取するのであれば、その中ではGI値の低いパスタとワインを、そして上記に挙げたようなGI値を下げる食品も摂取して、バランス良く食事を愉しみ健康を維持し、ダイエット効果をもたらそうという素晴らしい食事法なのです。
夜ワインは太る!?
最後は晩酌ワインについて。
1日の締めくくりとして、ワインのみならずコップ一杯のアルコールでも晩酌はついやってしまいますね。
夕食を終えたはずなのに、寝る前に何かをつまみながらアルコールを摂取するのもまた格段に美味しく、贅沢なひとときでもあります。
しかしながら、結論をお伝えすると、やはり寝る直前の飲酒、食事自体がポジティブな要素が少ないようです…。
就寝2時間前には少なくとも胃にものを入れるのは控えた方が良いと聞きますが、睡眠中は身体も色々とメンテナンスをする時間ですので、睡眠中に食物の消化にエネルギーを使わせないためにも、就寝前の飲食はあまり良いとは言えないという見解が多いようです。
それでも就寝前の飲酒が全くメリットが無いというわけではないようですので、まずは以下に簡単にまとめてみました。
<ワインを就寝前に飲むメリット>
・リラックス効果がある。
・身体を温める効果がある。
・ワインに含まれている抗酸化作用を持つポリフェノールが、就寝中に余分な活性酸素を除去する手助けをしてくれる。
<ワインを就寝前に飲むデメリット>
・眠りが浅くなる。
・入眠作用の減少。
・肝臓の酷使。
簡単には上記の通りですが、どちらかというとデメリットの方が作用が強く、またメリットに関しては他の方法でも対処ができることですので、やはり就寝直前の飲酒は控えた方が良さそうです。
どうしても夜ワインをしたい、そしてできれば何かをつまみたいという方には以下の方法がオススメです。
① 飲酒は就寝前の3時間前にする。
アルコールの直接の作用は約3時間ですので、就寝3時間前であければ就寝時にはアルコールの影響は少ないですので、睡眠の質も比較的健全に保つことができそうです。
②ワインとの相性が良く、身体にも良い影響を与える食品をおつまみにする。
どうしても何かおつまみが無ければ気が済まないという方は、先の地中海式ダイエットで挙げたような、以下のような健康的にもワインとの相性が良い食品を選ぶと良いと思います。
・チーズ(できれば低脂肪や無脂肪)
チーズには脂肪球という脂肪分が含まれていますが、この脂肪は体内に吸収されにくいという特徴を持っています。
さらに、チーズに含まれるメチオニンというアミノ酸成分には肝機能向上効果を期待できるため、二日酔いの予防に役立つでしょう。
・オリーブ、もしくはオリーブオイルで味付けをした料理(できれば野菜、お魚にし、お肉は避ける)
地中海式ダイエットでも奨励されているオリーブオイルには、オレイン酸などの不飽和脂肪酸も含まれていますので、悪玉コレステロールの増殖抑制効果なども期待できそうです。
また、ワインではなくウイスキーやブランデーなどの蒸留酒を、ナッツなどをつまみにして飲むのも良いかもしれません。
GI値は低いですし、アルコール度数も高いですから、寝酒としては少ない量で効果を発揮してくれるかもしれません。
以上、残念ながら夜ワインはあまり良い調査結果は得られませんでしたが、どうしてもという方は是非上記の注意事項を守って就寝前のひとときを愉しんでいただければと思います。
というわけで今回のテーマは、「ワインにダイエット効果はあるのか?夜ワインは太る!?」でした。