ワインコンサルタント&ソムリエの広瀬勇二です。
今回のテーマは、「赤ワインと白ワインのカロリーや効能の違いとは?」です。
赤ワインと白ワインの効能の違いについて
以前、このブログ内の記念すべき第1回目の記事の「ワインの種類とぶどう品種による味の特徴は?」の中の「1.1 スティルワイン」の項目でも赤ワインと白ワインの違いは簡単に御説明させていただきましたが、再度各々の効能も含めてもう少しだけ詳しく御説明させていただきたいと思います。
「ワインは健康に良い」というのは既に周知の事実。では赤、白それぞれ具体的にはどんな効能があるのでしょうか?
まず赤白ワインどちらにも、特に赤ワインに多く含まれている「ポリフェノール」という抗酸化物質が動脈硬化を防止するという大きな働きをします。
ポリフェノールが一番含まれているのは種子で65~70%程、次に果皮で25~35%。更に赤ワインに含まれているポリフェノールには、まず果皮にある色素の元である「アントシアニン」「フラボイド」、最近癌に有効であるとの研究報告がなされた「リスベラトール」があり、次に種子に含まれる「タンニン」「カテキン」「ケルセチン」等があります。
一般的に、醸造過程で種子も使用する赤ワインの方がより多くのポリフェノールが含まれ、更に赤の中でも渋みが強い方がより含有量は多いと言われております。
白ワインは種子を取り除いた果汁のみを発酵させる為、ポリフェノール含有量は赤ワインの10分の1程度と言われております。
このポリフェノールの効果により、心臓疾患、脳卒中、ストレス等による神経性疾患、またアルツハイマーにも有効との報告もあり、ワインを飲む人は飲まない人に比べてこれらの発症率が5分の1程度しかないと言われております。
お肉や乳脂肪の摂取量が多く喫煙率も高いフランス人が、これらの疾患が少ないという理由の一つがこのワインによるものであるという研究結果が出ており、これがフレンチ・パラドックス(フランスの逆説)と呼ばれ、ワインに含まれるポリフェノールの効果が立証されております。
赤ワインに多く含まれているポリフェノール。では白ワインの健康促進効果は少ないのかというとそんなこともございません。
前述した通り、まず赤ワインより含有量は少ないとはいえポリフェノールは含まれておりますし、利尿効果を高めるカリウム、またワインに含まれる有機酸であるクエン酸とリンゴ酸の含有量が赤ワインよりも多く、老廃物の排出を促し新陳代謝の向上、腸内環境を整える整腸作用、そして殺菌作用に大きな力を発揮します。
また、この殺菌作用という点で見ると、お肉の脂身とバランスをとるという効果がある赤ワインとお肉のマリアージュのように、魚介のカルパッチョや最近ではお寿司といった生魚を使った料理などと白ワインとのマリアージュが衛生面でも理にかないますし、味ばかりでなく論理的にもマリアージュが成立していると言えます。
このように、赤ワイン、白ワイン、各々効用には違いがあり、自分の健康状態に合わせて、単に味だけではなく理論でマリアージュを考えてみるのも面白いかもしれないですね。
「空っぽのカロリー?」エンプティーカロリーとは?
続きまして各々のカロリーについてを御説明させていただきたいと思います。
と、その前に、まずはワインのみならず全てのアルコールのカロリーと言われている「エンプティーカロリー」についてお伝えしなければなりません。
この「エンプティーカロリー」、直訳すると「空っぽのカロリー」。つまり摂取しても太らないカロリー?と誤解されている方もいるようですが、これは大きな間違いです。
確かにアルコールで摂取したカロリーは体内には蓄積されないと言われておりますが、カロリーが全く無いという訳ではなく、むしろ1gあたりのカロリーは他の栄養素よりも高いと言われております。
各栄養素1gあたりのカロリー
↓↓↓
アルコール 7kcal
炭水化物 4kcal
タンパク質 4kcal
脂肪 4kcal
それが他の栄養素のカロリーよりも優先的に消費されるというだけで、その間他の栄養素のカロリーはその消費を待っている状態になりますので、アルコールを摂取した分他の栄養素のカロリーは消費されず体内に蓄積される形になります。
従って、直接アルコールのカロリーが溜まっている訳ではないにしても、結果的には他の栄養素のカロリーの消費を妨げている状態になっておりますので、アルコールを摂取した分間接的にカロリーが蓄積されていることに間違いはありません。
この理論でいくと、たくさん飲んだ後の〆のラーメンで即就寝なんていうのはやはり太る原因の一つになることは間違いないようです(^_^;)笑
では食事は摂らずにお酒だけであれば太らないのか?…それも大きな間違いです。
そもそもお酒にはアルコール以外にも炭水化物や糖質といった成分も含まれておりますし、アルコールを分解する過程で肝臓での中性脂肪の合成が促進され脂肪肝を誘発しますので、肝臓などの内臓脂肪を増やす結果になってしまいます。
ですので、食事を摂らずにお酒だけをたくさん飲むのであれば、やはりお酒は程々にして栄養たっぷりの食事を摂った方が健康には良さそうですね(^_^;)。
エンプティーカロリーとは、「高カロリーだが栄養価が少ない、またはそのような食品」という定義もあり、「カロリーが無い」という意味とは大きく異なりますので、まずはこの「エンプティーカロリー」という言葉の認識を今一度見直していただけたらと思います。
一番太らないワインは赤?白?泡?
前述した通り、残念ながらお酒自体はエンプティーカロリーとは言え多少カロリー摂取を促進してしまうもの。
個人的にダイエット指導をしてくださるという某プライベートジム「ラ◯ザップ」等でもお酒の制限は厳しいようで、もしダイエットをするのであればやはりお酒は飲まないに越したことはないようです。
しかし、大好きなお酒を断ってまでダイエットをする気はない(私もそうですが(笑))、またそもそもダイエットなどする気はない方はお酒を断つことはないと思いますし、適量のお酒、特にワインは健康に良く、何より食卓を、そして人生を楽しくするにはお酒は欠かすことはできないですよね!(笑)
そんな皆様に少しでもお役に立てるよう、ここでは各々のワインとお酒のカロリーについて述べたいと思います。
どうせワインは飲んでしまう…それであればせめてどのワインが一番カロリーが低いのか?
結論を言うと以下の通り
↓↓↓
ワイン(100mlあたり)のカロリー
泡 100kcal
ロゼ 77kcal
白 73kcal
赤 73kcal
とのことです。
これだけを見ると泡(スパークリングワイン)が頭一つ抜けてカロリーは多いみたいです。
考えられる理由としては、スパークリングワインには補糖という工程がありますので、他のワインに比べて糖分が多いということが考えられます。
ロゼワインは、他のワインに比べて炭水化物が多く含まれているので赤白ワインに比べるとカロリーは高いようです。
アルコール度数で言えば、
泡 11%以上
ロゼ 10%程度
白 7~14%程度
赤 11~14%程度
ですから、アルコール度数がそのままカロリーに比例しているという訳ではなさそうで、以上のデータから分析すると、ワインに含まれているカロリーは「アルコール度数よりもむしろ糖分や他の要素に比例する」と言えそうです。
そうすると、データ的には他のワインに比べてカロリーの低い白、赤ワインでも、貴腐ワインやVDN(ヴァン・ドゥー・ナチュレ)と言った甘口ワインはカロリーが高いということになります。
この「糖質が多い=カロリーが高い」という理論は間違いないようで、「糖質カット」といったビールなどがあるように、糖質が多く含まれているお酒はカロリーが高い、つまり太りやすいお酒ということになります。
結果、一番太らないワインは通常の赤ワイン、白ワイン。すなわち「スティルワイン」で、その中でも糖分が少ないドライなもの、ということになります。
太りやすいお酒とは?
それでは最後に、お酒全般を見てどのお酒が太りやすいか太りにくいかの分析をしてみましょう。
前述したようにお酒のカロリーはアルコール度数とは比例せず、「お酒に含まれている糖分がカロリーに比例する」ということがわかりました。
従って、糖分を多く含むビール、ワイン、日本酒に代表される「醸造酒」は、糖分を含まないウイスキー、ブランデー、焼酎に代表される「蒸留酒」に比べて太りやすいということになります。
特に日本酒の原料はお米で糖質そのものですので、醸造酒の中でも更に太りやすいと言えるかもしれません。
しかしながら、蒸留酒も醸造酒に比べてアルコール度数は高いですので、エンプティーカロリーとは言え他で摂取したカロリーの分解の大きな妨げにはなりますので、やはり飲み過ぎには注意をしなければなりません。
甘くて美味しい梅酒や、様々なリキュールを使って作るカクテルなども要注意です。
また冷たいお酒は自ずと体温を下げ新陳代謝を下げるので、日本酒であれば冷酒よりは熱燗、そしてアルコール度数が高い蒸留酒も、極力割って飲むようにした方がアルコールの蓄積を抑えることに繋がりそうです。
結果、やはりアルコール度数よりもお酒に含まれる糖分や他の栄養素に着目すること。そしてエンプティーカロリーとは言え蓄積を少なくする為には極力割って飲むこと。また可能であれば温かい方が良いということになります。
以上のことを踏まえると、一番太らないお酒はズバリ「焼酎お湯割り」ですかね!
それでもやはり飲み過ぎは注意!そしてお酒を飲んだ後の食物の摂取、特に炭水化物の摂り過ぎは肥満に繋がるので要注意です!
「何事も程々に」ということですね(^_^;)笑
というわけで今回のテーマは、「赤ワインと白ワインのカロリーや効能の違いとは?」でした。