未開封&開封済みワインの賞味期限と飲み頃は?

ワインコルク

ワインコンサルタント&ソムリエの広瀬勇二です。

ワインコンサルタント&ソムリエの広瀬勇二

今回のテーマは、「未開封&開封済みワインの賞味期限と飲み頃は?」です。

ワインの賞味期限

ワインと言えば、19??年物、オールドヴィンテージワイン、なんて言葉を耳にしたことがあるかと思いますが、果たしてこれらのワインはいつ飲めば良いのか?賞味期限はあるのか?そして本当に美味しいのか?古ければ古い程良いのか?

またヴィンテージワインでなくても、普段日常的に飲んでいるワインを一度封を開けたらどれくらいまで美味しく飲める?つまり賞味期限はいつまでなのだろうか?

ボトルやラベルのどこを見てもワインには、いや、そもそもお酒全般に「賞味期限」といったような表記はございません。

元々お酒はアルコール発酵、つまり腐ってできた飲み物ですので、「賞味期限」はおろか「消費期限」も定められてはおりません。

ですので、極端な話いつまで放っておいても絶対に飲めないということはありませんが、保管状態などの環境が悪いとやはり味は劣化し、本来の味ではなくなってしまう、また飲めなくなってしまうことはございます。

またワインには飲み頃というものがあり、例えばオールドヴィンテージワインと呼ばれる何十年も熟成させたワインを飲む時に、長い年月熟成させたワインの方が必ずしも美味しいという訳でもなく、そのワインのブトウ品種や生産年などによって最も美味しく飲める時期というのは変わってきます。

たっぷりと何十年も熟成させた方が美味しいワインもあれば、あまり寝かせ過ぎず数年寝かせた程度が最も美味しいワイン、そして中には100年熟成させて飲むべきワインなんていうものもございます。

今回はそんなワインの飲み頃や、封を開けたワインの賞味期限などについて御説明させていただけたらと存じます。

開封したワイン、日常消費ワインの賞味期限

崇高なるオールドヴィンテージワイン等の飲み頃のお話は後述するとして、まずは皆様が一番現実的にも直面しているであろう開封したワイン、また日常的に消費しているワインの賞味期限についてお話させていただきます。

結論を先に言わせていただきますと「1度開封したワインは、泡白赤の種類を問わず3日以内には飲むべき」と言えるでしょう。

開封後、専用のストッパーと簡易的な手動ポンプで中の空気を抜いて栓をすることができる”Vacuvin(ヴァキュヴァン)”や、酸化防止カーボンフィルターによってワインの酸化を大幅に遅らせる”AntiOx(アンチオックス)”など、限りなく酸化を防ぎ劣化を遅らせる器具はいくつかございますが、やはり1度開封したワインの味わいをそのまま保つことは難しく、抜栓直後に比べると少なからず変化はしていってしまいます。

中にはその変化を楽しみ、1、2週間は飲めるというワインも無きにしも非ずですが、それはあくまで飲む人の主観とそのワインのポテンシャルによるもので、そのワインが持っている本来の品質そのものを楽しめるのはやはり2、3日といったところです。

もちろん私もその主観を楽しむ方ですので、個人的には抜栓後3日を超えたワインを楽しむ時もありますが、やはり多少の味わいの変化は否めず、来客時のおもてなし等には出すべきではないでしょう。

まあ、それを知った上で敢えて実験のように楽しみ、「抜栓後、意外に長持ちするワイン」を探すのもまた一興ですが!(笑)

開封前のワイン、オールドヴィンテージワインの飲み頃

最後に、開封前のワイン、オールドヴィンテージワインの飲み頃についてお話したいと思います。

前述の通り開封後は3日以内、できれば次の日には飲んでしまうことが望ましいとして、それでは開封前のワインはいつまで保管すれば良いのか?いつまでも保管して古ければ古い程味わいは良くなるのか?どのワインをどのくらい寝かせて飲むのが望ましいのか?また今すぐ買って飲むには何年物が良いのか?などと色々疑問が出てくると思います。

19○○年物のオールドヴィンテージワイン、「この年はビッグヴィンテージで良い年のワインなので…」なんて会話を耳にする、いや実際にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

お誕生日のプレゼントとしてその方の生まれ年のワインを贈る、または自分自身が頂戴してもそれをいつ飲んで良いのかわからない…。

せっかくですから一番美味しい状態の時に飲みたいものですよね(^^)。

結論を先に申し上げますと、飲み頃に「確実な正解」はありません。

しかしながら、傾向と申しますか、ワインによって「これくらいが飲み頃だ」という目安はつけられます。

その目安を付ける要素としては以下の通り。

1.ブドウ品種
2.ヴィンテージ
3.その他使用コルクなどの要因

です。

まずは1のブドウ品種。こちらは長期熟成に向いている品種と不向きな品種があり、代表的な長期熟成品種と言えば五大シャトー等で有名なカベルネソーヴィニヨン種、熟成に不向きな品種と言えばボジョレーヌーボーで使われているガメイ種などがあります。

強いタンニンと酸を有するカベルネソーヴィニヨンは、長期熟成に耐え得る強いブドウなのに対し、軽やかな味わいのガメイはそのどちらも穏やかですので、長期熟成には向かず、早めに飲むのが望ましいとされております。

次に2のヴィンテージ。こちらも1と同様の理由で、同じ品種でも充分に日光を浴びてしっかりとしたタンニン、酸を備えることができた年のワインは長熟、そうでない年は長期熟成品種であっても熟成年数はその中では短めになります。

とは言え、偉大なワインである五大シャトークラスなどになってくると、ヴィンテージ関係なく少なくとも20年熟成はした方が良い、また良い年に関しては100年の熟成にも耐え得ると言われているワインもあり、何か法則性があるとは一概に言えず、ヴィンテージだけで飲み頃を決めるのはなかなか難しいようです。

最後に3のその他使用コルクなどの要因ですが、完全に密封されているステンレスのスクリューキャップなどはほぼ酸化はしないですが、その分呼吸もしていない為熟成の期待もそれ程大きくはなく、比較的早飲みするのが良い、またそれ用に造られているワインが多いようです。

かたやコルクとなればワインは当然呼吸もしておりますので熟成はしていきますが、上記の通りその要因も様々。また最近は技術の進歩で極めて密閉度が高く衛生的にも優れたコルクが出てきており、それによってワインにとって不安要素がなく極めて健全な熟成をするというワインもあります。

それを考えると、やはりあまりに古過ぎる1970年代以前や、最早30年熟成にあたる1980年代のワインは保管状況やワインによっては若干の不安は否めず、今飲むのであればオールドヴィンテージワインでは1990年代~2000年代前半あたりが一番危なげなく飲めるワインが多いのではないかと思われます。

しかし、100年の熟成に耐え得るワインは確かに存在はします。

私自身、たまたま機会があって五大シャトーのCh.オーブリオンの1918年物、1941年物を飲んだことがありますが、どちらも本当に生き生きしていて、しかもまさに七色の変化と言わんばかりに次々にゆっくりと香りも開いてくるといった素晴らしいワインでした。

コルクは表面こそ真っ黒のものの芯はしっかりしていて、ワインはカベルネソーヴィニヨンでありながら本当にまろやかな優しい味わい。

保管状況等しっかりと条件が整っていれば、本当に100年近い熟成を経て最高のパフォーマンスを発揮するワインは存在するのです。

しかしながら、やはりオールドヴィンテージは年代関係なく当たり外れも確かにあり、ワインそのものの味を楽しむというよりは、そこに時の流れやロマンを感じて愉しむことが大前提。

味わいの良し悪しよりは、その時、その空間でその時間を楽しむことが大事ですので、万が一味が宜しくないワインだったとしても、どうかそのワインとソムリエさんを責めず大人な御対応を(^^)。ここは大人ワイン.comですからね(笑)

というわけで今回のテーマは、「未開封&開封済みワインの賞味期限と飲み頃は?」でした。

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