ワインコンサルタント&ソムリエの広瀬勇二です。
まずはワインの種類、ぶどう品種、またそれによる味の違いについてといった基本的なところから簡単に、またちょっと専門的なところに至るまで説明させていただきたいと思います。
ワインを知るにあたり、まずはワインの歴史、製造法といったようなところから入るのはよくある話ですし、それが正しい入り方だとは思うのですが、ここは「大人ワイン.com」。
そんな堅苦しい話よりもまずは簡潔にワインの概要を知りたい、明日の大事な接待、デートなどでも恥をかかない、すぐに通じる最低限のワインの知識、またちょっと誇れるワインの豆知識をお伝え致します。
Contents
ワインの種類
ワインの種類(分類)は大きく分けて4つあります。
1.スティルワイン(皆様が一般的に召し上がっている、いわゆる普通の白、赤ワインのこと)
2.スパークリングワイン(シャンパンなどに代表される発泡性ワインのこと)
3.フォーティファイドワイン(シェリー酒やポートワインに代表される、ブドウの発酵途中で意図的にブランデーなどの蒸留酒を加えてアルコール成分を高めたワインのこと。日本語では酒精強化ワインと呼ばれている)
4.フレーヴァードワイン(イタリアのチンザノなどで有名なヴェルモットやフランスのデュボネといった、スティルワインにスパイスやハーブ、薬草、またリキュールや蒸留酒などを加えた混成ワインのこと)
以上4種類、全てのワインはこのどれかに分類される。
更に言えばお酒全体の分類もあり、全てのお酒は
1.醸造酒
2.蒸留酒
3.混成酒
この3つのどれかに分類されるのだが(ワインは醸造酒)、これは皆様ネットででもお調べになればすぐにでもわかることでございますので、御興味のある方は御自分でお調べいただいて、ここでの説明は割愛させていただきます。
ここは「大人ワイン.com」。
お忙しい大人な皆様の為にも、ある程度の基本的なことは抑えますがどこにでも載っているようなことはお伝えだけして細かい説明は極力省き、よりワインライフが楽しくなるような豆知識、そしてちょっと尊敬されるような他では教えてくれないお洒落なウンチクなどを優先的にお伝えしていきます!
それでは早速まずは皆様一番馴染みがあるであろう「スティルワイン」の御説明からさせていただきたいと思います。
もちろん大人に、そしてお洒落に!(笑)
スティルワイン
スティルワイン、すなわち一般的な赤ワイン、白ワインを見た時に、まずこの2つが大きく違うということは一目瞭然。
いくら「大人ワイン」とはいえ、まずは赤ワインと白ワインの違いくらいはしっかりとお伝えしておく必要があるだろう。
赤ワインと白ワインの違いは何か?
これだけはっきりと色が違う訳ですから、当然まずその製造方法に違いがあります。
先にも述べたように、ワインはお酒の分類では「醸造酒」という部類に入ります。
醸造酒とは、穀類や果実(ワインの場合は当然ぶどう)を発酵させて造ったお酒のことを言いますが、赤ワイン、白ワインはこの醸造のやり方に大きな違いがあり、故にその味わいや特徴に大きな違いがあります。
赤ワインの赤色はぶどうの皮から、渋み(タンニン)はぶどうの種から抽出されます。
至って簡単に説明させていただきますと、ぶどうを搾ってできたぶどうジュースに、ぶどうの皮と種を漬けて色素と渋みを抽出してから発酵して造られたのが赤ワイン、皮と種を取り除いてぶどうジュースだけを発酵して造られたのが白ワインなのです。
それではここからが「大人ワイン」。
既にお気づきの方もいるとは思いますが、白ワインは渋みの元であるタンニンが含まれている種を漬けていない。ということは白ワインに渋み、タンニンは無いのか?
おっしゃる通り、全くゼロという訳ではないですが、製造方法の理論上白ワインに渋みはないです。
白ワインを飲んだ後の味わいを「フルーティーだねー!」「飲みやすいねー!」と表現されるのはよく耳にしますし、皆様も割とよく口にするフレーズなのではないかと思いますが、間違ってもフルーティーではない白ワインを「渋いね!」などと表現してはいけない。
もしとてもフルーティーとは感じられない味わいの本格辛口白ワインに遭遇したら、その時は「ドライだね」と表現するのが正しい。
更にそのワインの味わい、特徴と向き合うことができた時は、その中からまるで鉄を飲んでいるような味わいを少しでも感じたら「ミネラル感もあるね!」、キュッと引き締まるようなニュアンスを感じたら「酸が効いてるね!」、樽熟成からくる香ばしさを感じたら文字通り「香ばしいね!」といった表現をし、フルーティーと感じた白ワインの中でもその中でどんなフルーツのニュアンスを感じるか?例えばとてもフルーティーと感じたのであればパイナップルやアプリコット、あんずといった熟した特徴を持つフルーツ。フルーティーの中でもやや酸味も感じるなと感じた場合は、ライムやグレープフルーツ、レモンといったような、口の中が引き締まる特徴を持つフルーツで表現すると良い。
本来であれば、ワイン一本一本とより深く向き合うことによって、より細かい味わい、特徴を捉えていって分析をしていくところなのですが、プロではなく大会に出る訳でもない皆様でしたら、まあこれくらいの基本を抑えておけば既にプライベートやレストランでも充分白ワインを楽しめるレベルには達していると思います。
以上のことを念頭に置きながら、あとは御自身でもワインの味わい、特徴による表現方法、語彙などを学んでいただき、いつもよりちょっとだけ細かく、より深くワインと向き合うように意識して飲んでいるだけで自ずとティスティング能力も上がっていき、気がつけばある程度ワインのことを語れる、もしかしたらちょっと口うるさい人になっているかもしれませんね(笑)。
今回、気づいたら話が膨らんでしまって白ワイン中心の味わい、特徴のお話になってしまいましたが、引き続き赤ワインの話をさせていただきたいと思います。
前述しましたと通り、白ワインには原則的には渋みはないと御説明させていただきましたが、となると赤ワインこそは当然渋みがあるのが大きな特徴。
復習になってしまいますが、白ワインがぶどうの皮と種を取り除いたぶどう果汁を発酵させるのに対し、赤ワインはぶどうの皮と種も一緒に漬けて発酵を行います。
赤ワインの色素はぶどうの皮から、渋みの元になるタンニンはぶどうの種から抽出される為、赤ワインには色素が付き渋みがありますが、白ワインには赤色は付かず渋みがほとんどないのです。
そしてぶどうの皮や種にはポリフェノールが豊富に含まれておりますので、白ワインよりも赤ワインの方がポリフェノール含有量が多く、故に健康に良いと言われております。
ポリフェノールの効果につきましては、「赤ワイン ポリフェノール」と検索するだけでもたくさんの情報を得ることができますので、どうか皆様お時間のある時にでもお調べいただいて、ワインが適量であればどれだけ身体にも良いお酒であるかを知っていただけたらと思います。
それではポリフェノール含有量が赤ワインより少ない白ワインはそれほど身体には良くないのか?
そんなことはございません。
白ワインにはミネラルが豊富に含まれており、このミネラルが利尿効果を高め新陳代謝を促進、また同じく白ワインに豊富に含まれている有機酸は腸内環境を整え、同時に抗菌作用があるのが特徴。
こちらも赤ワイン同様、お調べいただければ白ワインの素晴らしさも充分に御理解いただけると思います。
それでは赤ワインの味わい、特徴による見分け方をお伝え致しましょう。
まず、白ワインも同様ですが、皆様テイスティングという言葉をよく耳にするかと思います。
これはレストランなどにおいてはソムリエ、そしてワインをお選びになったお客様が最初にワインのコンディションを見るという作業で、また有資格者のプロの方々などがそのワインを分析する為に行うことです。
まずは外観を見て、赤ワインの場合は簡単に言うと同じ赤でも濃い色はガーネット色、明るい色はルビー色と表現し、それからグラスを傾けて縁の色で熟成感を、グラスを戻して縁に残ったワインの粘着性でアルコール度数を測るなど色々と分析し、その後香りを嗅いでまた分析、そしてようやく口に含んで色々と味わいを分析するという流れなのですが、一緒に飲んでいる皆様もワイン好きでしっかりとテイスティングしようというテンションでもない限り、ここまでやるのはちょっと気難しい人だと思われる可能性もあるので気をつけましょう(笑)。
まあ基本的にはちょっと外観を見てから香りを楽しむ、そして口に含んでからある程度の味わいをコメントができれば充分なのではないでしょうか。
それではお待たせ致しました。ここからは「大人ワイン.com」の簡潔且つわかりやすいポイントを抑えた赤ワインの味わい方、特徴の見分け方をお伝え致しましょう。とは言えどうしてもちょっと長くはなってしまいますが…。
まずは最初に先程お伝えしたワインの外観で、あくまで一般的な話しですが、明るいルビー色に属する場合はピノノワール種やボジョレーヌーヴォーで有名なガメイ種といった軽やかなぶどう品種であることが予想できます。
逆に濃い色調、すなわちガーネット色と表現されるワインであれば、フランスで言えばボルドー地方の主要品種であるカベルネソーヴィニョン種やコート・デュ・ローヌ地方のシラー種といった重たいワインが造られるぶどう品種である可能性が高いことが予想されます。
しかし、皆様プロでない限り品種を当てることが目的ではないので、だいたいそういう傾向にあるということを念頭に置いていただいて、飲む前に「重たそうだね!」とか、あるいは単純に「濃い色だね!」とか、鮮やかな色には「綺麗な色だね!」といった具合に見たものをそのまま素直に官能的に表現をしていただく形で構いません。
むしろこの時点で細かく分析し過ぎてワインを断定してしまうのは、大きく違う可能性もあるので逆に避けた方が良いでしょう。
中には熟成度合いによって色素が落ちてきて、本来重たいぶどう品種を使っているにも関わらず色はちょっと薄くなってきているワインもございますし、かたや軽いぶどう品種を使っているにも関わらず製造法によってはそれ程鮮やかな色でないワインもございますので、この早い段階で自分の中で結論を出さないこと!
私も含めて有資格者でもそのワインの全てを的確に分析することは難しい。
大切なことは、テイスティング全ての過程でそのワインのことを決めつけず、予想はしていてもあらゆる可能性を残しておいて、次の香りや実際に口に含むまで、またグラスに注がれて口に含んだ後もその後の変化を考えて、絶えず広い心でワインを受け止めてそれを楽しむことです。
そうすれば、自ずとワインから寄り添ってきてくれますし、また新たな表情も見せてくれるでしょう。
名だたる一流ソムリエ達ですら、外観の段階でそのワインが何であるかは断定はしませんしできません。
それでは次に香りですが、こちらも外観同様にある程度傾向はありますが、重い、軽いよりもぶどう品種の特徴や醸造法などに由来することも多いので、ここでも同様に無理な分析と結果を出そうとはせず、そのワインを感じたままに表現するだけで充分です。
香りは特に難しく考えず、あまり何度も嗅ぐのではなく、最初に感じた香りをそのまま直感で素直に受け止めることがとても大事です。
傾向としては軽めのワインはイチゴやラズベリーといったフルーツの香りやスミレといった花の香りが取りやすいですし、ボジョレーヌーヴォーのガメイ種はイチゴキャンディーの香りと表現されたりもします。
重ためのワインからはスパイスやハーブの香り、熟したフルーツや、カカオの香りが、熟成されたワインからは軽い重い問わず枯葉や腐葉土、また動物的な香りが取れたりもします。
しかし、スパイスやハーブの香りはピノノワール種からも取れますし、熟成具合によっては軽めのワインからでも複雑な香りが取れますので、あくまで香りもそのワインをたどる手がかりの1つに過ぎないのであまり執着し過ぎないこと。
ワインはトータルバランス。全ての要素が合わさってワインが形成されているので、1つ1つの要素で断定をしないことが重要です。
この香りから樽熟成の可能性や品種の特徴も取れるので本来ワインを分析する上で非常に重要な要素なのですが、それはまた別の機会にゆっくりと御説明致しましょう。
そしていよいよ口に含みますが、よく口の中で転がしてですとか、少し専門的な話をすれば口の中で上唇と上の歯茎の間にワインを含ませて、歯茎に残った成分がタンニンなのでそれでタンニンの量を測るといったような方法はございますが、ワインを楽しむという観点では、このタンニンの量も考慮しつつ最初にワインを口に含んだ味わいとその後口の中で転がした味わい、そしてその後の余韻を感じ取って、その特徴を自分の言葉で表現をすれば良いのです。
しかし、その「自分の言葉で表現」というのが何だか恥ずかしい、またこれで合っているのか不安だったりもするので難しい、と感じてしまうのだとは思うのですが、ここでいくつか基本的な語彙を御紹介致します。
ソムリエ教本にも載っているような基本的な語彙というのはいくつかありますが、何かの大会でもない私生活の中でワインを表現する上で大切なこと、また我々ソムリエも気をつけていることでもあるのは、まずはわかりやすく、そのワインが大きく見てどういう味わいでどういうワインであるかの特徴を表現すること。
単純に「重い」「軽い」まずはそれだけでも充分なのです。
しかし、「重い」「軽い」の一言だけではちょっと寂しいですし、せっかくワインを楽しんでいるのですから、どうせならもう少しワインをロマンチックにも褒め称えたい(笑)。
そこで便利、というか知っておきたいいくつかの語彙として、例えば軽い味わいと感じた場合は白ワイン同様「フルーティー」「軽やか」「フレッシュ」、そして口中に広がるような広がりを感じれば「華やかな」や、魅力的に感じたのであればそのまま「チャーミング」というような表現をしてみると良い。
先程お伝えしたタンニンを多く感じる、いわゆる重たいワインを感じた時は「どっしり」や、そのまま「タンニンが効いてる」など、また果実味やアルコールにも由来してくるが「パワフル」「リッチ」「ふくよか」といったような表現も使うと良いだろう。
もちろんフルーティーの中でもイチゴやラズベリーといったより細かいフルーツの表現、軽めでもスパイスやハーブのニュアンスを有するワインもたくさんありますし、重ためでリッチと言っても同様にスパイスやハーブや、プラムやイチジクといった熟したフルーツのニュアンス、また白ワイン同様樽熟成からくるバニラのようなニュアンスを含むワインもあります。
更にはコーヒーやチョコレートのニュアンスを含むワイン、また最初の口当たり、舌触りについては、滑らかな舌触りを「シルキー」、若干舌にまとわりつくような感覚を「ビロードのような」と表現したりもします。
以上、色々と語彙を挙げてみましたが、まあこれくらいワインの表現方法はたくさんあるのだということを御理解いただき、他にも語彙はたくさんありますので、自分の中でこれらの語彙に当てはまる味わい、香りなどを探しながらワインを飲むのも面白いと思います。
そうやって日々向き合いながらワインを飲むことによって、やがて自分の中でこれらの項目の中から捉えやすい香り、味わい、特徴を持つワインに出会えると思いますので、その時は胸を張ってそのワインをMy favorite wineにしてはいかがでしょうか(^^)。
気がつけば「私は樽香が効いてるボルドーワインが好きです!」なんて自分の好みのワインを堂々と言っているあなたになっているかもしれませんよ!(^^)
大分長くなってしまいましたが、以上でポイントを抑えた簡単なスティルワインの説明を終わりに致します。
スパークリングワイン
続きまして、スパークリングワインの説明をさせていただきます。
スパークリングワインと言えば、皆様真っ先に思い浮かぶのはフランスのシャンパーニュ地方で造られるシャンパンでしょう。
フランス語で書くと、シャンパーニュ地方もシャンパンのこともどちらも「Champagne」(フランス語の場合冠詞を付けるのでシャンパンはle champagne)となります。
つまり同じ言葉なんですね(^^)。
ですので、正確に言えばどちらも「Champagne(シャンパーニュ)」と言わなければならないのですが、私も含めてやはり飲み物の方は「シャンパン、シャンパン」と言ってしまう方が多いと思いますので、今更それを無理に変える必要はないと思いますが、一応知識としては覚えておいた方が良いと思いますのでお伝えしておきます。
そして、知識がある方は「今更そんな基礎的な話を」と感じるかもしれませんが、このシャンパンを含むスパークリングワインを、「大人ワイン.com」のテイストも出しつつ基本的なことから御説明させていただきます。
このChampagneに代表されるスパークリングワイン。生産国によって各々色々な呼び名があります。
まずはこのChampagne。定義としてフランスのChampagne地方で造られたスパークリングワインということは割ともう皆様御存知で。
しかしこのChampagne、他にも様々な条件を満たしてはじめてChampagneと名乗ることができ、それを語るにはとてもとても長くなってしまいますので、ここでは最小限の基本的なことを。
まずは御存知Champagne地方で造られたスパークリングワインであること。
使用するぶどう品種は、黒ぶどうは「ピノノワール種」と「ピノムニエ種」、白ぶどうは「シャルドネ種」の三種類であること。
瓶内二次発酵、通称シャンパン方式(Methode champenoise (メトード シャンプノワ))と呼ばれる製造方法で造られていること。
更にはアルコール度数は11%以上、ガス気圧は6気圧以上(通常3気圧以上あればスパークリングワインと言えるが、シャンパンは規定のガス気圧が高い)、熟成期間の規定など、他にも色々な条件があり、またシャンパン方式についてなどもしっかりと御説明させていただきたいところですが、ここではひとまず割愛させていただきます。
以上のことを知っていれば、とりあえずシャンパンの基礎知識としては充分でしょう。
フランスを代表するスパークリングワインと言えばこのChampagneですが、それではこのChampagne以外にフランスのスパークリングワインは存在しないのか?また存在するのであれば何と言うのか?
Champagne以外のフランス産のスパークリングワインは存在致します。
まずフランスではシャンパンも含めたスパークリングワインの総称をVin Mousseux(ヴァンムスー)と言います。
Vinはワイン、Mousseuxは泡という意味ですので、そのまま「泡ワイン」、まさにスパークリングワインという意味ですね。
このヴァンムスーの中にシャンパンも含まれている訳ですが、フランス国内でシャンパーニュ地方以外でこのシャンパン同様にシャンパン方式で造られたスパークリングワインのことをCrémant(クレマン)と呼び、代表的なものにアルザス地方で造られたCrémant d’Alsace(クレマン ダルザス)、ロワール地方で造られたCrémant de Loire(クレマン ド ロワール)、そしてブルゴーニュ地方で造られたCrémant de Bourgogne(クレマン ド ブルゴーニュ)などがあります。
それ以外のフランス国内のスパークリングワインはヴァンムスー、もしくは単にムスーと呼ばれていて、製造方法もシャンパン方式でなくても良いとされております。
そして、ガス気圧が3気圧にも満たない微発泡性ワインのことを、フランス語で「ピチピチはねる」の意味のPétillant(ペティヤン)と呼びます。
フランス以外の国も見てみましょう。
まずはイタリア。
イタリアではスパークリングワインを総称してSpumante(スプマンテ)と呼びます。
代表的なものに、イタリアのワイン銘醸地ピエモンテ州で造られる甘口のAsti spumante(アスティー スプマンテ)などがあります。
また、スプマンテの中の1つとして、ベネト州で造られる辛口のProsecco(プロセッコ)、そして、ロンバルディア州でシャンパンと同様の瓶内二次発酵で造られ「イタリアのシャンパン」と形容されるFranciacorta(フランチャコルタ)などがあります。
フランチャコルタはイタリアのシャンパンと形容されるだけあって、その味わいも素晴らしく「シャンパンに次ぐ品質」と世界的にもその実力が認められております。
また、よくありがちな勘違いが上記のプロセッコの認識で、アスティー スプマンテが有名過ぎるということもあり、「イタリアの甘口のスパークリングをスプマンテ、辛口をプロセッコと呼ぶ」と思っている方もいるようですが、これは大きな間違いです。
あくまでイタリアのスパークリングワインの総称をスプマンテ。プロセッコはベネト州で規定に沿って生産された、言うなればフランスのシャンパンと同じようなことですので、イタリアの辛口スパークリング全てを指している訳ではありません。
従って、辛口のスプマンテもありますし、ベネト州のプロセッコ以外の辛口スプマンテはそのまま「スプマンテ」ですね。
プロセッコ以外の辛口スプマンテの1つにフランチャコルタもあり、アスティーもプロセッコもフランチャコルタも全てスプマンテです。
アスティーは甘口スプマンテ、プロセッコ、フランチャコルタは辛口のスプマンテという訳ですね。
また、サッカーの中田英寿選手がイタリア滞在中に出会い、そのロゼでもない完全に赤の発泡ワインという特徴と魅惑的な味わいに惚れ込み総合プロデュースをした「Bacio(バーチョ)」(イタリア語でキスの意)で有名な、エミリア・ロマーニャ州で造られるちょっと珍しい甘口赤の微発泡のLambrusco(ランブルスコ)などもある。
甘くて赤で微発泡、一見色々な特徴があり過ぎて料理に合わせるのは難しそうに感じるこのランブルスコですが、食も豊かなエミリア・ロマーニャ州では、パルマ生ハム、ソーセージ、パルミジャーノ・レッジャーノ、そしてボロネーゼといった地元の食に合わせてその多様な味わいを楽しんでいるようです。
発泡性という特徴で食前酒、赤という特徴で食中酒、甘いという特徴で食後酒と、様々なシーンで飲むことができるこのランブルスコ、キンキンに冷やして飲めば女性にも好まれる、とても親しみも持てるスプマンテです。
また、ランブルスコ セッコという辛口の味わいのものもあり、最近では甘口のドルチェも含めて成城石井などといったスーパーなどでもお気軽に購入することができるようです。
次にドイツ。
ドイツワインと言えば、その飲みやすい味わいが特徴的な甘口白ワインを連想する方が多いと思いますが、実はスパークリングワインもしっかりと生産されております。
ドイツのスパークリングワインと言えばSekt(ゼクト)をよく耳にするかもしれませんが、これもスペインのカヴァ同様、ドイツのスパークリング全てを指すかというと若干違います。
ドイツのスパークリングワインの総称をSchaumwein(シャウムヴァイン)。
Sektと呼べるのはその中でもガスが3.5気圧以上であることや、アルコールが10%以上、またこちらも瓶内二次発酵で泡が得られることといった規定があり、更に掘り下げていけば、Sektの中でもDeutscher Sekt、Deutscher Sekt b.aという分類があり、より細かい規定によって定められている。
しかしながら、ゼクトの味わいは甘口白が有名なドイツの中においてもキリッとした辛口も多いのが特徴的で、且つガス気圧もシャンパンほど高く保たなければならない規定ではないので意外に口当たりも良く、実は気持ち良くたくさん飲むには一番適している泡かもしれません!
他にもオーストラリア産やアメリカ産、最近では、ワイン造りではあまり認識がないイギリス産、また実はシャンパン以外で一番古いスパークリングワインの歴史を持つスロバキア産のスパークリングワインなどもあり、各々ワイン先進国の技術や知識を取り込みながらも独自の特徴、味わいを持つスパークリングを生産している。
フォーティファイドワイン(酒精強化ワイン)
フォーティファイドワイン(Fortified Wine)と言われてもピンとこない方は多いでしょう。
日本語で言うと酒精強化ワイン。
簡単に御説明させていただきますと、醸造途中に人為的にアルコールを加えてアルコール度数を上げたワインのことです。
代表的なフォーティファイドワインとして、スペインのシェリー(Sherry)、ポルトガルのポートワイン(Port Wine)、マデイラ(Madeira)があり、これらは世界三大フォーティファイドワイン、これにイタリアのマルサラ(Marsala)を加えて世界四大フォーティファイドワインと呼ばれている。
各々の細かい製造法等はさておき、人為的にアルコール度数を上げることにどんな意味があるのか?
そもそもアルコール発酵というのは、糖分に酵母菌を加えることにより、酵母菌が糖分をアルコールと炭酸ガスに分解されるというメカニズムで成り立っており、この酵母菌がアルコール発酵できる限界がせいぜいアルコール度数14〜15%といったところ。
それを超えると酵母菌は活動が止まってしまうのだが、このフォーティファイドワインは、発酵途中に人為的にアルコールを加えることによって、まだ糖分が残っている状態でアルコール度数を上げるので、ポートワインのように甘くてアルコール度数の高いワインができあがる訳です。
スティルワインのアルコール度数が高くても14%程度といったところを、この酒精強化ワインの製造法であれば更にアルコール度数が高く、且つ甘い味わいのワインができあがるのです。
また、発酵具合により甘口、辛口の違いが生じるので、同じフォーティファイドワインでもアルコールを加えるタイミングにより甘口のポートワインと辛口のシェリーが存在するのです。
お食事の際は、各々その特徴に応じて辛口のシェリーは食前酒に、甘口のポートワインなどは食後酒が相応しいとされている。
フレーバードワイン
フレーバードワイン(Flavoured Wine)、アロマタイズドワイン(Aromatized Wine)とも呼ばれており、日本語にすると混成ワイン、香味付けワイン。
文字通り、ワインにハーブやスパイス、時にリキュールなどを加えて作ったお酒。
代表的なものにイタリアのチンザノやフランスのノイリープラットで有名なヴェルモット(Vermouth)、デュボネ(Dubonnet)などがある。
広い意味ではワインにフルーツを漬けて造るサングリアや、イチゴなどのフルーツフレーバーを加えたフルーツワイン、またカシスを白ワインで割ったカクテルのキールやホットワインなどもフレーバードワインに属する訳だが、キールやワインクーラーといったカクテルは、私個人的にはやはり「ワインベースのカクテル」と表現するのが最も相応しいのではないかと感じます。
また、ワインと果物さえあればどなたでも気軽に造れる気軽さが大きな特徴でもあるサングリアですが、酒税法の関係で、実は酒類製造免許が無い者が造ると違法になるらしいです…。
飲む直前に一杯毎に果物を入れて飲めば違法ではないらしいのですが、そんな飲み方で美味しいサングリアの味わいが出るかは疑問で、まあ実際には自家製サングリアを造っている飲食店などを取り締まっているところは見たことはない(笑)。
主なぶどう品種と味の特徴
代表的なぶどう品種
ワイン造りに使用されるぶどう品種の数は約3000種類もあると言われております。
その中でも馴染みがある品種はせいぜい数十種類、ワインにお詳しい方でも多くて数百種類は知っているといったところではないでしょうか。
今回はこの中から特に皆様がよく耳にするであろう品種であり、マスターオブワインのジャンシス・ロビンソンがかつて指定した「高級品種(Classic Varieties)」と呼ばれる9品種(白ぶどう:シャルドネ、ソーヴィニョンブラン、リースリング、シュナンブラン、セミヨン。黒ぶどう:カベルネソーヴィニョン、メルロー、ピノノワール、シラー。)と、それに続く「主要品種(Major Varieties)」と呼ばれる26品種(白ぶどう:ゲヴュルツトラミネール、ピノグリ、シルヴァーナ、ミュスカデ、ヴィオニエ、ルーサンヌ+マルサンヌ、ミュスカ、コルテーゼ、ガルガーネガ、ユニブラン、ヴィウラ、パロミノ。黒ぶどう:ガメイ、カベルネフラン、グルナッシュ、カリニャン、マルベック、ネッビオーロ、サンジョヴェーゼ、バルベーラ、コルヴィーナベロネーゼ、テンプラニーリョ、ジンファンデル、ピノタージュ)の中から、特に頻繁に耳にするであろう高級品種9品種の主な特徴と味わいについて御説明させていただきます。
Chardonnay(シャルドネ)
まずは白ぶどうの代名詞、世界中の至る所で生産され、最早世界で最もメジャーな白ぶどう品種と言っても過言ではないChardonnay(シャルドネ)種。
ワインにお詳しくない方でも一度はその名を聞いたことがあるのではないでしょうか。
また、ワインに詳しくないが故にシャルドネがぶどう品種であるということも知らなかったが、それでも聞いたことはある、それくらい有名で世界の至る国々で栽培もされているのがこのシャルドネです。
ですので、単に「シャルドネをください」と飲食店やワインショップの方にお伝えしても通じることは通じますが、それがどこのシャルドネなのか?フランス産シャルドネか?カリフォルニア産シャルドネ?はたまたチリ産のシャルドネか?とスタッフの方は考えますし、当然それを質問をされるでしょう。
そしてこの質問こそが、シャルドネのとある特徴があるからこそ避けては通れない質問であり、ワインを売る側としてはお客様にしっかりと聞いておかねばならない大切な要素なのです。
その理由を説明するには、やはりこのシャルドネというぶどう品種の特徴からお話しなければならないでしょう。
シャルドネの特徴、それは「特徴がないのが特徴」。
?マークが浮かんだ方がほとんどでしょう。
どういう事かと申しますと、このシャルドネという品種、生産される地域の気候や土壌(俗にテロワールと言う)の影響を如実に受け、それがそのまま味わいに反映されるというぶどう品種なのです。
日照量が多く温暖なカリフォルニアでは果実味豊かなフルーティーなシャルドネが、それに比べれて冷涼なフランスではキリッとしてコクもある辛口シャルドネが、また同じ国でも海沿いのエリアでは海風の影響を受けた風味があったり、土壌の地層によってより複雑味のある味わいになったりと、その土地土地のテロワールによって様々な味わいになります。
テロワールはシャルドネに限らず全てのワイン造りにおいて重要な要素の一つですが、そのテロワールの影響が極めて顕著に表れるぶどう品種、それがこのシャルドネなのです。
最も有名であるが最も奥が深い品種、また故に飲む人の心を掴んで止まない、永遠に極めることのできない一生楽しめるぶどう品種とも言えるかもしれないですね。
Cabernet Sauvignon(カベルネ・ソーヴィニョン)種
白ぶどうを代表するぶどう品種がシャルドネ種であるならば、このカベルネ・ソーヴィニヨン種とピノノワール種は黒ぶどうを代表するぶどう品種と言えるであろう。
カベルネ・ソーヴィニヨンの産地として最も有名なのは、俗に五大シャトーと言われる偉大なワインを産出するフランスのボルドー地方であるが、シャルドネ同様世界中で生産されており、温暖な気候を好むことからカリフォルニア州やチリといった日照量の多いエリアでより果実味豊かでパワフルな味わいのカベルネ・ソーヴィニヨンも栽培されている。
カベルネ・ソーヴィニヨンのワインは、芳醇な香り、重厚なタンニンで味わいも深いが、単体では渋味が先行し過ぎる為、ボルドーではタンニンが穏やかで丸みのある味わいが特徴のメルロー種やカベルネ・フラン種などとブレンドして造られる。
しかし、その力強いタンニンこそがワインに何十年、時には百年近くの長熟に耐えるポテンシャルを与え、五大シャトーの1つ「Ch.Mouton Rothschild(シャトー ムートン ロートシルト)」の1945年物、終戦の年に造られた数少ないこの稀少なワインは100年の熟成にも耐え得ると言われ、20世紀を代表する至高のワインの1つとされている。
ちなみに私も同じく五大シャトーの「Ch.Haut-Brion(シャトー オーブリオン)」の1914年物というワインを丁度100年後にあたる2014年に飲んだことがあるが、100年経っているとは信じられないくらい素晴らしく生き生きしていて、100年熟成に耐え得るワインが本当に存在するということを認めざるを得ないという体験をしている。
皆様も、機会があれば是非数十年以上の熟成を経た偉大なワインの古酒を堪能してみてください。
Pinot Noir(ピノノワール)種
フランスワインの二大生産地、ボルドー地方とブルゴーニュ地方。
前項でお伝えしたカベルネ・ソーヴィニョン(CS)種がボルドーを代表するドッシリと重たい黒ぶどう品種であるならば、このピノノワール種はもう一つの銘醸地ブルゴーニュ地方で造られる、繊細でエレガントな味わいを特徴とした黒ぶどう品種です。
世界で最も高価なワインとも言われるあのロマネコンティーも、このブルゴーニュ地方でピノノワール種100%を使用して造られております。
ボルドーワインがカベルネソーヴィニョンや他のぶどう品種をブレンドして造られるのに対し、ブルゴーニュワインのほとんどはこのピノノワール単一で造られることが特徴で、故にテロワール(気候、土壌、場所、日当たりなど、ぶどう栽培における全ての自然環境のこと)がとても重要視され、一つの畑が日当たりの良し悪しなどで区画に分かれていて、同じ畑に何人も所有者がいる。
品種の差がない分このテロワールと造り手の腕が如実に現れるワインとも言われており、ワインラヴァーの中では「ワインはブルゴーニュに始まりブルゴーニュに終わる」という言葉が生まれるくらい、ブルゴーニュワインも奥が深く魅力的なワインと言えるでしょう。
また、白ぶどうのシャルドネ種、黒ぶどうのピノムニエ種と共に、シャンパーニュを造る際のぶどう品種にも使われており、シャンパーニュの味わいに骨格と特徴を与える品種として重要な役目を担っている。
このピノノワールは冷涼な気候で産するのに適していると言われておりますが、最近ではアメリカのカリフォルニア州やニュージーランドなどでも良質なピノノワールが造られており、カベルネソーヴィニョン同様、世界中で造られている国際品種となっており、新たな地でのテロワールでもその可能性を充分に発揮している。
余談にはなってしまいますが、ブルゴーニュワインを題材にした映画「ブルゴーニュで会いましょう」では当然このピノノワールを使ったブルゴーニュワインが登場しており、物語の舞台として力強いワインが特徴のボルドーではなく、より繊細な味わいのワインを産するブルゴーニュが選ばれていることは、監督であるジェロム・ル・メール氏の何か思惑が含まれているのかもしれませんね(^^)。
これはあくまで私の個人的な予想ですが(^^)。
Merlot(メルロー)種
カベルネ・ソーヴィニヨン同様ボルドーを代表する黒ぶどう品種で、世界中でも栽培されている国際品種であるが、カベルネ・ソーヴィニヨンに比べると早熟な特徴があり、味わいも柔らかく、酸度とタンニンも穏やか。
ボルドーではカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランなどと混醸され、ドルドーニュ川右岸のサンテミリオン地区、ポムロール地区では主要品種として用いられている。
ポムロールを代表する二大高級ワインのCh.Petrus(シャトー・ペトリュス)、Ch.Le Pin(シャトー・ルパン)の主要品種もこのメルローであり、ピノノワールともまた違う上品さを備えたとてもシルキーな滑らかさを要する品種ではあるが、時に凝縮感、飲みごたえに欠けるという印象を受けることもある。
しかしながら、南仏のラングドック地方、カリフォルニア州、ニュージーランドやチリなどでも盛んに栽培されており、日照量などの影響でフルーツフレーバーに富み豊かなボディを持った、ボルドーとはまた違った特徴、味わいを出すワインの成功例も数多く見受けられ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノノワールと並び、世界の赤ワインを牽引している黒ぶどう品種であることは間違いない。
Syrah(シラー)種
主に南フランスのCôtes du Rhône(コート・デュ・ローヌ)地方とオーストラリアで栽培されている南方系の特徴を備えた黒ぶどう品種で、濃い目の色調、カシス、プラムなどの凝縮されたフルーツ香、スミレの花、チョコレートといったような甘く芳ばしい香りに、スパイス香、土臭さ、なめし革といった動物的な香りもあり、またオーストリアではミントやユーカリプスの香りを有する。
豊かな果実味、しっかりとした酸味、充分なアルコールも有し、男性的で力強くコクのある味わいで、フランス産のカベルネ・ソーヴィニョンに比べるとタンニンは控え目でやや洗練さに欠けるとも言われるが、その無骨なところが魅力でもあり、時に洗練されたフランスボルドーワインよりも素晴らしいお食事とのマリアージュを魅せることもある。
オーストラリアではShiraz(シラーズ)の名で呼ばれており、中でもPenfolds Grange(ペンフォールズ グランジ)はシラーズを使用したオーストリア最高峰赤ワインとして世界的にも有名で、今やオーストリアのシラーズ、そしてオーストリアワインは世界中で愛されるワインの一つとなっている。
またフランスのローヌ北部ではほぼ単独で、南部ではグルナッシュ種など他の南方系品種との混醸でのワイン造りに使われており、北ローヌでは「焼けた丘」の意のCote-Rotie(コート・ロティ)、南ローヌではフランス第一号AOCであり13種類もの品種の混醸が許されているChâteauneuf du Pape(シャトーヌフ・デュ・パプ)などが有名で、シラーはボルドー、ブルゴーニュと並ぶワイン産地としてのローヌ地方を牽引しているぶどう品種と言える。
Sauvignon Blanc(ソーヴィニヨン・ブラン)種
シャルドネと並び、最早世界中で栽培されたいる国際品種ではあるが、フランスではロワール河上流で単独栽培、ボルドーではグラーヴやアントゥル=ドゥメール等で主要品種としてセミヨン種などとの混醸で辛口ワインに、ソーテルヌやバルザックではセミヨンの補助品種として貴腐ワインなどの甘口ワインのぶどう品種として使用されている白ぶどう品種。
明るい緑色の色調で、青草やハーブ、またフレーツフレーバーも強く華やかな印象ですが、このゴムを焼いたような青草の香りをブラックユーモアの好きなフランス人などは「猫のおしっこ」などと表現するが、もちろん食事中にはこの表現は使えず、代わりの表現として「若草の芽」という言葉を使ったりもする。
キリッとした酸が特徴で、産地によって多少の差はありますが全体的にはクリーンでフルーツフレーバーも高く、とてもフレッシュな心地良い味わいを有するぶどう品種と言える。
カリフォルニアではFumé Blanc(フュメ・ブラン)種とも呼ばれ、新樽を使うか否かでフュメブランとソーヴィニョンブランの名称を使い分けているメーカーもある。
またニュージーランドやチリといったニューワールドでも優良なソーヴィニョンブランがたくさん生産されており、ニュージーランドのCloudy Bay Sauvignon Blanc(クラウディーベイ ソーヴィニョンブラン)などは、ニュージーランドのMarlborough(マルボーロ)地区のソーヴィニョンブランを世界的にも一躍有名にしたワインの一つ。
Riesling(リースリング)種
代表的な冷涼気候品種で、フランス北部のAlsace(アルザス)地方、ドイツ全域、スイスやオーストリアといった東欧各国で栽培される白ぶどう品種。
淡い色調、香りは青リンゴなどのフルーティーさと白い花の香り、花の蜜など多彩でアロマティックで、フレッシュで果実味溢れる爽やかな味わいが特徴。
長熟により品質の高いワインになり得ますが、晩熟でコストもかかる品種である。
世界三大貴腐ワインと言われる甘口ワインの最高峰、ドイツのTrockenbeerenauslese(トロッケンベーレンアウスレーゼ)もこのリースリングにより造られており、甘口ワインの主要品種としても大活躍している。
アルザス地方では辛口がほとんどであるが、一部Vendanges Tardives(ヴァンダンジュ タルディヴ)という遅摘みによる甘口ワインや、Sélection de Grains Nobles(セレクション・ド・グランノーブル)という貴腐菌が付着したぶどうのみを選定して造られる甘口ワインにも使用されている。
Semillon(セミヨン)種
主にフランスのボルドー地方や南西地方で栽培されている白ぶどう品種で、ボルドーではソーヴィニョン・ブラン、ミュスカデルと共に使用が認められている白ぶどう三品種の一つ。
皮が薄いため貴腐状態になりやすく、世界最高峰の甘口ワイン「Château d’Yquem(シャトー・ディケム)」で有名な世界三大貴腐ワインSauternes(ソーテルヌ)の主要品種である。
ボルドーのグラーヴやアントゥル=ドゥメールではソーヴィニョンブランと混醸され、辛口ワインの補助品種としても使用されている。
黄金色のはっきりとした色調、熟した果実や蜜の香りを有し、甘口の場合は芳醇な甘さ、余韻の長さも特徴的。
ニューワールドではオーストラリアのHunter Valley(ハンターヴァレー)でもHunter Semillon(ハンター セミヨン)と呼ばれるセミヨン100%の素晴らしい辛口ワインが生産されており、またラフィットグループが手がける「Domaines Barons de Rothschild Bordeaux Réserve Spéciale Blanc(ドメーヌ バロン ド ロートシルト ボルドー レゼルヴ スペシアル ブラン)」なども、カジュアルに楽しめるセミヨン主体のボルドーワインを生産している。
というわけで今回のテーマは、「ワインの種類とぶどう品種による味の特徴は?」でした。