ワインコンサルタント&ソムリエの広瀬勇二です。
今回のテーマは、「チューハイとサワーの定義は?」です。
コロナ禍の現在、本来であれば、今こそワインのおすすめをしなければならないところなのですが、一人フラッとコンビニなどに立ち寄って気さくに買えるお酒としては、やはり缶ビールや缶チューハイ、サワーなどが挙げられると思います。
最近は使用するブドウにシャルドネを用いたり、ワインの要素を加えている商品も出てきております。
それはネーミングにも現れてきており、「ワインサワー」や「スパークリングテイスト」といったワードが使われている缶チューハイもあるようです。
セブンイレブンやイトーヨーカドーのセブン&アイグループが展開するセブンプレミアムでも、「シャルドネ サワー」というネーミングの缶チューハイを販売しております。
シャルドネという言葉が入ってくると、ワイン愛好家の皆様はつい気になってしまいますよね!
普段、何気なく耳にもするこのチューハイやサワーというワードですが、あなたはこれらの定義をご存知でしょうか?
今回は、このチューハイ、サワーの定義を説明させていただきながら、ワインに関する要素が含まれている商品もいくつか紹介させていただきます。
Contents
チューハイの定義
「チューハイ」の語源は、焼酎の「酎(チュー)」と、ハイボールの「ハイ」を組み合わせたものと言われています。
もともとは焼酎ハイボールの略称で、焼酎の炭酸割りを指す言葉とのことです。
しかし「チューハイ」に厳密な区分や法律上の規定があるわけではなく、一般的には焼酎やウォッカなど無色で香りのないスピリッツをベースに、果汁などを加えて炭酸で割った飲み物のことを指しているようです。
しかしながら、居酒屋ではウーロンハイ、緑茶ハイといった、炭酸は入っていない焼酎割りもありますが、これはチューハイとは言わないのか?
私も気になりましたので調べてみたのですが、ウーロンハイの誕生には以下のような経緯があったようです。
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1979年、ピンクレディーによる美容の烏龍茶ブームで、伊藤園やサントリーといった大手企業が世界で初めて缶入り烏龍茶を発売し始めました。
しかし当時は「お茶」は茶葉を煎れて飲むものというイメージが強く、しかもお茶は無料で飲めるものという認識でしたので、今のようにお金を出してまで飲むという感覚が無く、また缶自体も小さく割高感もあったため、当時缶入り烏龍茶は思惑通りには売れなかったようです。
そこでサントリーは、1980年代当時の「焼酎ブーム」に目を付け、全国的に定番であった
「焼酎の緑茶割り」をヒントに 「焼酎の烏龍茶割り」を居酒屋の「村さ来」に提案し、長いネーミングも「チュウハイ」ブームにあやかる形で「ウーロンハイ(ウーハイ)」とメニュー表記をしました。
これがウーロンハイの始まりで、美容に良く低カロリー、しかも流行の焼酎割りの追い風もあり、ウーロンハイはたちまち大ヒット。
それに伴って缶入り烏龍茶は浸透し、ウーロンハイというネーミングも市民権を得たようです。
従って、敢えて解説をするのであれば、チューハイとは本来焼酎の炭酸割りのことなのですが、サントリーの戦略によって浸透したウーロンハイによって、必ずしも炭酸で割らなくても焼酎を何かで割ることを総称してチューハイと呼ぶようになった、といったところでしょうか。
そう言えば、サントリーのジャパニーズジン翠(SUI)のコマーシャルでは、「ジンソーダ?ジンのソーダ割り?それ流行るの?」というセリフがあります。
これもある意味「ジンハイボール」や「ジンハイ」とも言えるのですが、サントリーは「ジンソーダ」のワードを選び、これが流行ればまた新たな歴史の1ページになるかもしれないと思うと楽しみでもありますね。
お酒も文化の一つ。人間の日々の生活から今後も色々な流行が生まれてくると思いますが、この「チューハイ」もまだまだ形を変えていくのかもしれないですね。
前述した通り、最近では焼酎をウォッカなどのスピリッツに変えてみたり、大分幅広くなってきている用ですが、これはあくまで缶チューハイでの話で、居酒屋などではやはりベースは基本的には焼酎になっていると思います。
今後、このチューハイ文化もどう変化していくのか楽しみですね。
サワーの定義
日本バーテンダー協会(NBA)が発行しているオフィシャルカクテルブックを見ると、サワーは以下のように説明されております。
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ウイスキー、ブランデーなど各種のスピリッツをベースに、レモンジュースと砂糖などを加えて甘酸味を加えてつくる。シンプルなスタイルだが、柑橘類の味わいを生かした、多数のいわゆるサワー系ミックスドリンクの代表的な存在。ソーダ水を使わないのが原則だが、我が国を含めてアメリカ以外の国では、ソーダ水やシャンパンなどを使う処方も見られる。Sour(サワー)とは「酸っぱい」の意。
と記載されております。
「ソーダを使わないのが原則だが、…」という文面に驚いた方も多いかと思います。
サワーと言えば、むしろ炭酸割りが大前提というイメージがありますが、バーテンダーの世界では違うようです。
確かにウイスキーサワー、アプリコットサワーといったカクテルのレシピを見てみると、各々ベースのお酒以外の原料はレモンジュースと砂糖のみのようです。ただ「少量のソーダを加える処方もある」との記載もあるので、ソーダを使うという認識も多少はあるようです。
とは言え、やはりサワーと言えば炭酸割りのイメージが浸透していることは揺るぎない事実ですので、これはとても興味深いと思い調べてみましたところ、チューハイ同様にサワーも起源がありました。
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現在大衆的に認知されているサワーの発祥は、東京都目黒区上目黒一丁目にあったもつ焼きの店「ばん」(酒処 もつ焼き ばん)が始まりと言われているようです。
1960年代初旬、当時の居酒屋ではどの店でも酒といえば日本酒か焼酎がメインだったようですが、「ばん」ではお客様にお酒をお安く飲んでもらおうと甲種焼酎をメインに出していたが、甲種焼酎は風味も無くお酒として必ずしも美味しいものではなかったので、なんとか美味しく飲めるように焼酎にレモン汁を絞り入れ、炭酸で割る方法を考えました。
ただし、焼酎に風味をつける飲み方や炭酸で割る飲み方は、当時は既に一般的に行われていたので、この点は「ばん」のオリジナルではないようです。
当時、このような飲み物の名称としては「炭酎(たんちゅう)」、「酎炭(ちゅうたん)」、「焼酎ハイボール」などというものがありましたが、どれも呼びづらく名称としても垢抜けないものだったので、「ばん」の店長(マスター)が常連客と一緒に名称を考えたところ、常連客の一人が蒸留酒にジュースを混ぜたサワーというカクテルがある事を思い出し、サワーと名づける事を提案しました。
この常連客とは後に「ハイサワー」を発売する事になった博水社の社長だと言われており、現在のサワーの名称が誕生した瞬間でした。
1980年にハイサワーが発売されたことでサワーの名称が日本中に広まりましたが、名称の起源が東京であったためか、関東など東日本では「サワー」の呼称は一般的ですが、現在でも関西など西日本では主に「チューハイ」と呼ばれており「サワー」と言っても理解されないことが多いようです。
とても面白いエピソードですね!
チューハイ同様、サワーもまさに日常から生まれたワードだったのです。
結果、チューハイもサワーもはっきりとした定義があるわけではないですが、広義では同じで、どちらも焼酎や、時にウォッカなどの蒸留酒を、炭酸も含めたソフトドリンクで割ったもの、と言えるでしょう。
強いて挙げられる違いと言えば、サワーは炭酸で割るというイメージが強いといったところでしょうか。
これで市販の「缶チューハイ」には炭酸が入っており、缶には「〜サワー」と記載があることも理解できたかと思います。
シャルドネの名が入った缶チューハイ
前述した通り、今や缶チューハイの定義は幅広くなってきております。
ベースのお酒も必ずしも焼酎というわけではなく、ウォッカなどのスピリッツや、中にはワインそのものを使っているものもあるようです。
そんな中で「シャルドネ 」という言葉が入っていると、ワイン好きな方は気になってしまうところでしょう。
それは私も同様。今回私が気になって実際に手に取り口にした、「シャルドネ 」のワードが入った缶チューハイをいくつかご紹介させていただきます。
<氷結 シャルドネ スパークリング(キリン)>
私は普段缶チューハイはほとんど飲みませんので、言わば缶チューハイ初心者と言える私ですが、そんな私でもこれは知っているというブランドが「氷結」。
この氷結から、「シャルドネ スパークリング」たるものが販売されております。
缶に表記してある原材料名を確認いたしますと、先頭に「ブドウ果汁(シャルドネ 果汁)」とあり、次に「ウォッカ」となっております。アルコール5%、果汁2.5%。
早速出ましたウォッカベースの缶チューハイ!
口にしてみましたところビックリするくらいクリアで、炭酸も心地良く爽快感を強く感じました。
これは焼酎には出せない口当たりだと感じました。
お茶系であればベースのお酒は焼酎の方が良いと思いますが、果実や炭酸と合わせるにはウォッカの方が爽快さは出せるのでしょう。
「シャルドネ 」というのは使っているブドウ果実のようで、シャルドネの白ワインではないようですが、香りも華やかで、とても爽やかで美味しかったです。
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<セブンプレミアム シャルドネ サワー(セブン&アイホールディングス)>
セブン&アイホールディングスが、自社ブランドのセブンプレミアムで展開しているオリジナル缶チューハイ。
原材料名の先頭は氷結と同じく「ブドウ果汁、ウォッカ…」でしたが、氷結のように(シャルドネ 果汁)という表記までは無かったです。アルコール5%、果汁5%。
まあちゃんとシャルドネのブドウ果汁を使っているのでしょうけども、できれば原材料名にもしっかりと明記していただきたかったといったところでしょうか。
果汁が氷結に比べて多いからか、確かに炭酸や爽快感を強く感じたという氷結に対して、こちらはブドウの味わいが強いといったところ。
もちろんサワーとしてしっかりと炭酸もあり、こちらもとても美味しかったです。
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シャルドネサワー 350ml | セブンプレミアム公式 セブンプレミアム向上委員会
<Slat(すらっと) シャルドネ サワー(アサヒ)>
つぶつぶグレープフルーツ果肉入りの、カロリー60%オフのシャルドネサワー。
原材料名は先頭から「アルコール(国内製造)、白ワイン、ブドウ果汁…」。アルコール3%、果汁1%。
ようやく見つけた「白ワイン」そのものが使われている缶チューハイ。
つぶつぶグレープフルーツ果肉も心地良く、アルコールも低く目のためか、とても飲みやすいという印象があったサワーでした。
炭酸もそれ程強烈なわけでもなく、多少白ワインも使っているからか、今回ご紹介させていただいた三つの中では一番エレガントで味わいに上品さを感じました。
カロリー60%オフという嬉しい情報付きで、それでもここまで美味しいのですから、缶チューハイ初心者の私からすれば充分に満足できる一本でした。
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<ゼロカク スパークリング テイスト ノンアルコール(アサヒ)>
ようやく見つけた缶チューハイでの「白ワイン」の表記で、アサヒの取り組み方に興味が湧きましたので、普段は飲まないノンアルコールも購入してみました。
原材料名は先頭から「ぶどう果汁(イタリア製造)、発酵ぶどう果汁、食物繊維…」。
アルコール0.00%、果汁1%、糖類ゼロ、カロリーゼロ。
ノンアルコールのみならず、糖類とカロリーがゼロなところも嬉しいポイント。
特筆すべきは「発酵ぶどう果汁」も使用しているところでしょうか。
よくノンアルコールワインも「つまりただのぶどうジュースなのではないですか?」という質問を受けます。
確かにワイン用のぶどうをそのままジュースにしているものもあると思いますが、ノンアルコールワインとぶどうジュースの差は、ワイン造りと同様にちゃんと発酵しているか否かにあります。
アルコール発酵をしてそこから脱アルコールをしているので、それは確かにぶどうジュースではなくノンアルコールワインと言えるでしょう。
以前、飲食店で働いている頃に、結婚式の披露宴などのおめでたい場所なのですが、新婦さんが既に妊娠されているためお酒は飲めないのですが、雰囲気は壊したくないというご要望に対してノンアルコールワインや、乾杯のスパークリングワインの代わりにジンジャエールをシャンパングラスに注ぎご提供したりもしましたが、色々な事情があってアルコールが飲めない時も、その雰囲気は壊したくないと思う人がほとんどのように思います。
このノンアルコール缶チューハイは色も綺麗ですので、そのような場でも有効かもしれないですね。
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ワインサワーの名が入った缶チューハイ
次は「ワインサワー」と記載のある缶チューハイです。
今回はサントリーの商品を取り上げましたが、先に取り上げた缶チューハイよりも確かにワインのニュアンスが強く、缶チューハイですがしっかりとワインの味を感じたいという方にはオススメです。
<ワインサワー(サントリー)>
缶に大きく「WINE SOUR」の表記。
ここまで堂々と打ち出すあたりがとてもサントリーらしいですね。
白赤どちらもあり、ワインラバーであればどちらも試してみたいものです。
原材料名は先頭から「濃縮還元ぶどう果汁(外国産)、濃縮果汁(レモン)…」
赤に関しては、濃縮果汁にレモン以外にもカシスの表記がありました。
確かに今までご紹介させていただいた缶チューハイの中でも一番しっかりとワインの味わいがします。
白赤どちらもレモンをひと搾りしていて程良い酸味も感じ、完成度も高いように思えます。
ただ、缶チューハイにとにかく爽やかさを求めるという方にはちょっと重たいかもしれませんね。
しっかりワインが入っているので、爽快な缶チューハイというよりは、カクテルを飲んでいる感覚に近いと思います。
白ワインをソーダで割ったスプリッツァーというカクテルがありますが、まさにそれをちょっと飲みやすくやや甘くしたという感じでしょうか。
ブランドページでは「酸化防止剤無添加」の記載もありましたが、実はここは気になる点でして、ワインの製造過程では酸化防止剤を使っていなくても、原料になっている濃縮還元ぶどう果汁の栽培や輸送過程で酸化防止剤が使われている可能性はゼロではありません。
使われてる濃縮還元ぶどう果汁は外国産とのことですので、原料の栽培も含めて酸化防止剤無添加か否かは疑問です。
まあそれでもワインにする過程では酸化防止剤無添加でしょうし、何より味わいは素晴らしいですから、缶チューハイにワインのテイストを求める方にはオススメの商品であることに間違いはないです。
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幻の缶チューハイ⁉︎ 99.99(フォーナイン) クリアスパークリング シャルドネ
ここまで様々なワインの要素を取り入れている缶チューハイをご紹介してきましたが、私が気になっていても唯一手に入れることができなかったのがこの缶チューハイです。
<99.99(フォーナイン) クリアスパークリング シャルドネ (サッポロ)>
エタノール以外の有機物割合が0.01%未満のウォッカを純度99.99%とサッポロとして規定した高純度ウォッカを使用した缶チューハイ。アルコール9%。
ぶどうもワイン醸造で用いられるシャルドネを使用しており、是非飲んでみたかった缶チューハイなのですが、こちらは残念ながらもう製造中止になっているようです。
そもそも限定販売でしたので、恐らく飛ぶように売れたのであろうと思いますが、アルコールも9%と缶チューハイとしては高く、かつてのストロングのように飲みごたえもある缶チューハイだったのでしょう。
今回、クリアスパークリング シャルドネ は入手できませんでしたが、他の味は店頭に並んでおりましたので、一番味わいもわかりやすいであろうクリア レモンを購入。
原材料名は先頭から「ウォッカ(国内製造)、レモン果汁…」。
噂の純度99.99%のウォッカがとてもクリアで、アルコール9%を全く感じさせずグイグイ飲めるスッキリさ。
これからの暑い時期には尚更美味しく感じるでしょうし、飲みやすい分スイスイ進んでしまいますので、アルコール9%のことも考えると飲み過ぎにはちょっと注意はした方が良さそうです。
しかしながら、飲み過ぎ注意と思うくらい美味しい味わいのは間違いないですね。
爽快感と飲みごたえ、どちらも兼ね備えた満足度抜群の缶チューハイであることは間違いないです。
今や幻となってしまったクリアスパークリング シャルドネ 、一度でいいから口にしたかったものです。
缶チューハイの世界もなかなか面白いものですね。
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「サッポロチューハイ99.99<フォーナイン> クリアスパークリング[シャルドネ]」限定発売 | ニュースリリース | サッポロビール
というわけで今回のテーマは、「チューハイとサワーの定義は?」でした。